貯蓄

【本物】テレビや新聞が絶対に語らない日本経済入門

あなたの給料は上がっていますか?

暮らし向きは良くなっていますか?

大半の人は「NO」なんじゃないでしょうか。

だって私たちの住んでいる日本経済そのものが、成長していないんですから。

「経済?そんなの興味無いね。関係ないし。」

そう考える方も多いかもしれません。

みなさんこんにちは! しおかぜ です。

最初の画像をご覧ください。これは日本の名目GDPの推移です。

1997年の消費増税を境に、横ばいに転じているのがわかりますよね。

それから日本は25年以上、経済成長していない。

先進国の中でこんな国は他にありません。

知っていましたか?

大人になった私たちが日々行っていること。

それは ”経済活動” です。

私たちの経済活動
  • 毎日会社に行き、仕事をする。
  • 振り込まれた給料で日用品や食料を買い、家賃も払う。
  • 車やマイホームを買うために貯金をする。
  • 子供の塾代、学費を支払う。仕送りも必要だ。
  • 老後資金を考える。
  • たまには旅行にも行きたい。

これら全てにお金が関わっており、そのお金を稼ぐ、使うなどすることに

人生の多くの時間を費やしているんですね。

私たちは大切な時間の多くを、日本経済の影響下で過ごしている。

だから「知らなかった」では済まされない、

”本物の” 日本経済について一緒に学びましょう!

今回のお話は、

それまで当たり前だった「天動説」が「地動説」に変わった時のような…

「”世界最先端” の経済の授業」です。

後に「神回」として崇められることになるでしょう!!(笑)

疑問

子供の頃は「勉強が仕事」なんて言われて、無理やり勉強させられていました。

あなたにも、そんな記憶があるんじゃないでしょうか?

「良い大学に入り、大企業に就職する。」

「そうすれば高給と安定が手に入り、老後も年金で悠々自適」

これが昭和期に最善とされた戦略だったのだから仕方ありません。

今は勉強することが仕事だと言うのなら、

大人になったら一体なにが「仕事」となるんだろう?

大人は毎日何をしているのだろう?

そんな漠然とした疑問を持っていました。

社会人になった今、「何が仕事」となっているのでしょうか?

「私は医者です。」「俺は大工だ。」「建設会社で経理を担当してます。」

いや、そういう意味ではなく「主に何をしているのか?」という疑問です。

人生の多くの時間を費やしてしている事柄、という意味で。

子供の頃からの謎でしたが、お金の勉強をする中でふと気付きます。

経済活動をしている時間が圧倒的に長いんじゃないか…!?

そうなんです。

私たちの生活そのものが、まさに経済活動と言えるんです。

日本経済を正しく理解し行動することが、将来の自分たちの生活に直結します。

さあ、ある意味何よりも大切な知識、なのにテレビや新聞では決して語られることの無い、

「本物」の日本経済を、一緒に見ていくことにしましょう。

工学部出身の筆者が5年以上に及ぶ「お金」の勉強の末、辿り着いた、

「本物の日本経済」の授業、最後までお楽しみください!(笑)

【所得創出のプロセス(実体経済)】
出典:新世紀のビッグブラザーへ
GDPとは?

所得創出のプロセス(実体経済)において、生産、支出、所得は必ずイコールになるため、

実はGDPとは生産の合計であり、支出の合計であり、所得の合計でもあります。

そして、生産の合計、支出の合計、所得の合計は必ず一致する。

これを「GDP三面等価の原則」と呼び、

その数値の大きさはその国の経済規模、つまり「国力」を表しています。

経世済民

突然ですが、あなたは「経世済民」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?

経世済民(けいせいさいみん)とは

世の中をよく治めて人々を苦しみから救うこと。

また、そうした政治をいう。

▽「経」は治める、統治する。「済民」は人民の難儀を救済すること。

「済」は救う、援助する意。

「経世済民」を略して「経済」という語となった。

goo辞書による解説は、こちら

「経済」とは、「経世済民」という言葉を略して出来たんですね。

では、今の日本では「経世済民」が行われているのでしょうか?

結論から言うと、全く行われていません。

むしろ日本が没落に向かう方向で政治が行われています。

それってどういうこと?

「本物」の日本経済の知識がなければ、理解することは出来ません。

次項より、いよいよ本題に切り込んでいきますね!

(前置き長いな…笑)

デフレーション

【インフレギャップとデフレギャップ】
出典:新世紀のビッグブラザーへ

インフレとデフレ

「インフレーション」「デフレーション」、

略して「インフレ」「デフレ」。

どこかで聞いたことがあると思います。

日本は25年もの間、「デフレ」から抜け出せていません。

デフレとは?
  1. 物が売れないから物価が下がる。
  2. 物価が下がれば(会社の利益が減り)賃金が下がる。
  3. 賃金が下がれば、収入が減る。
  4. 収入が減れば人は物を買わなくなり消費を抑える。
  5. ①に戻る。

この悪循環を繰り返しており、デフレ不況と呼ばれます。

つまり上図の右側、需要が不足している状態のこと。

【日本の実質賃金の推移(2015年=100)】
出典:新世紀のビッグブラザーへ

またデフレの証拠の1つとして、実質賃金も1996年をピークに減少の一途を辿っています。

対してインフレとは、この逆、好景気の状態を指します。

インフレとは?
  1. 物が売れるから物価が上がる。
  2. 物価が上がれば(会社の利益が増え)賃金が上がる。
  3. 賃金が上がれば、収入が増える。
  4. 収入が増えれば人は物を買い消費が伸びる。
  5. ①に戻る。

この好循環を繰り返すこと。

つまり上図の左側、供給能力が不足する状態のことを言います。

これが行き過ぎるとバブルとなるのですが、

緩やかな物価上昇(年率2%程度)が適切な経済成長とされています。

これを「需要牽引型インフレ(ディマンドプル型インフレ)」といいます。

対して2022年10月現在起こっているインフレは、

「コストプッシュ型インフレ」と呼ばれる、悪いインフレです。

主に輸入エネルギーや輸入穀物の高騰による物価上昇であり、

この値上がり益を享受するのは、海外の生産者だけ。

つまり、国内の会社の利益が増えることがないため、

私たちの収入も増えることはありません。

なのに支出だけが増えてしまう。つまり「可処分所得の減少」で、

増税をくらったのと同じ効果をもたらします。

これは上記「デフレとは?の③」と同じことで、

なんとコストプッシュ型インフレとは、デフレ要因なんですね!

【日本の消費者物価指数の推移(対前年比%)】
出典:新世紀のビッグブラザーへ

このグラフでは、コアコアCPI(黒線)を注視してくださいね。

コアコアCPIとは

値動きが激しい ”生鮮食品とエネルギーを除いた” 消費者物価指数のこと。

これが実態に最も近い消費者物価指数といわれている。

なお、2014年に3指数とも跳ね上がっているのは、消費増税5%⇒8%の影響です。

合成の誤謬(ごびゅう)

デフレ下では、物価が下がる、

逆に言えば、お金の価値が上がっていきます。

例えば、極端な例ですが、

今日なら1個しか買えないリンゴが、3日後なら2個買えるとしたら…

誰しも買い控えますよね。

それどころか、使わず持っているだけで価値が上がるから、

使わなくなりますね。

タンス預金や銀行預金が貯まる一方。

では企業はどうでしょう?

家計と同じく、将来の不安も相まって貯蓄(内部留保)を貯め込むわけです。

【日本の民間非金融法人企業の現預金(兆円)の推移】
出典:新世紀のビッグブラザーへ

逆に借金は、その価値が上がってしまう(負担が増える)ので、

出来るだけ早く返そうとします。

当然、新たな借り入れも控えるようになる。

【日本の非金融法人企業の借入(兆円)】
出典:新世紀のビッグブラザーへ

なお、2020年から急に増えているのは、コロナの影響で借入れが増えた影響です。

家計や企業のミクロの視点では、それぞれが正しい行動、

つまり、「経済合理的な行動」をしているわけです。

しかし、これらが合わさってマクロの視点になると状況は一変します。

みんなお金を使わない、新たな借り入れもしない。

そうやってみんなでデフレを推し進めてしまっているんです。

ミクロでは経済合理的な行動も、それらが合わさってマクロになると、

全体として間違った方向へ向かってしまう。

これを「合成の誤謬(ごびゅう)」といい、

私たち民間レベルではどうすることも出来ない現象なんです。

だからデフレ脱却は、国(政府)がやるしかない!!

その力を持つのは政府だけです。

なのに25年間もデフレを抜けられていない。

それはつまり、これまでの経済政策が間違っていたことを意味しているのだ!!

次項から詳しく説明しますね(笑)

お金

負債

一般的に、貨幣は物々交換の不便を解消するために生まれた、

と言われています。

交換手段として珍しい貝殻、その後、金や銀を用いるようになった、というアレです。

「商品貨幣論」といいますが、そもそもこれが間違っています。

昔は一定比率の「金」と交換ができることで

貨幣の価値が保証されている(「金本位制」という)時期もありましたが、

今はそんな保証はない「不換通貨」、つまり「お札」なんてただの紙キレです。

なのに何故、その紙キレがお金として広く使われているのか?

「商品貨幣論」だと、ここをうまく説明出来ないんです。

「みんながお金と思い込んでいるから」なんて曖昧な説明をする向きもありますが、

「貨幣」はそんなインチキなものじゃありません。

「貨幣」とは、ズバリ「負債」です。

ロビンソン・クルーソー

イングランド銀行の季刊誌(2014年春号)に載った、

「ロビンソン・クルーソーとフライデーしかいない孤島」という話を紹介します。

この孤島で、2人はこんな約束をしました。

約束
  • ロビンソン・クルーソーが「春」に野イチゴを収穫してフライデーに渡す。
  • フライデーは「秋」に漁をして獲った魚をクルーソーに渡す。

この場合、「春」の時点ではクルーソーにはフライデーに対する「信用」が生じ、

反対にフライデーにはクルーソーに対する「負債」が生じます。

「秋」になってフライデーがクルーソーに魚を渡した時、

フライデーの「負債」は消滅します。

ここで重要なのは、以下のポイント。

野イチゴと魚を「同時」に交換するのではなく、

「異なるタイミング」で取引が行われることで「信用」と「負債」が生じる点。

話をもう一度「春」に戻します。

クルーソーが「春」に野イチゴを収穫してフライデーに渡す。

この時フライデーが

【借用証書】

「秋」になったら魚を渡します。 フライデー

こんな借用証書をクルーソーに渡したとしたら…?

【ロビンソン・クルーソーとフライデー】
出典:新世紀のビッグブラザーへ

さらに話をアレンジして、

孤島にサンデーという第三者がやってきて、

クルーソーの持っている「借用証書」とサンデーの持っている火打ち石を交換したら…?

さらにサンデーが、島の外にいるマンデーの持っている干し肉と「借用証書」を交換したら…?

最終的にフライデーは「秋に魚を渡す」という債務(負債を返す義務)をマンデーに対し負うことになりますね。

【ロビンソン・クルーソーとフライデーとサンデーとマンデー】
出典:新世紀のビッグブラザーへ

ということは、「秋に魚を渡す」という債務はクルーソー以外にも譲渡可能ということになります。

この「借用証書」、まるで「お金」のようでしょう?

このように「貨幣」を「負債」の一種とみなす学説を、

「信用貨幣論」と呼びます。

信用創造

「貨幣」はどうやってこの世の中に「生まれる」のか?

この問いに答えられる人は少ないと思います。

ここを理解出来れば、貨幣の本質にかなり近づく事ができます。

頑張りましょう!

多くの方は、「日銀がお金を刷った時」と考えるのではないでしょうか。

間違ってはいませんが、正解ではありません。

まず、私たちが接することができる貨幣には2種類あります。

貨幣の種類とその割合
  1. 現金通貨(紙幣と硬貨) 約10%
  2. 預金通貨(銀行預金)  約90%

じつは貨幣の大半は「銀行預金」という、

もはや「紙キレですらない、ただの数字」なんですね。

この事実を覚えておいてください。

【日本の現金紙幣と銀行預金の推移(兆円)】
出典:新世紀のビッグブラザーへ

そのうえで「貨幣」を「負債」の一種とみなす「信用貨幣論」にあてはめると…

「貨幣」の生まれ方①

誰かが銀行から「お金」を借りるとき、

この世に「お金」が生まれる。

まさか!?

と、お思いでしょうが、紛れもない事実なんです。

はいっ、今! 目からウロコ、落ちましたね(笑)

世の中に新しい「お金」を生み出しているのは…

銀行である。

例えば銀行に「1億円」を借りたい人が現れた時、

銀行に「1億円」という現金は必要ありません。

銀行はただ通帳に「1億円」と「記帳」するだけ

まさにこの瞬間、この世の中に何もないところから

「1億円」という新しい「お金」が生み出されるんです。

これを「信用創造(しんようそうぞう)」といいます。

銀行貸し出しの制約となるのは、

元手の資金ではなく、「借り手の返済能力」。

借り手の返済能力がある限り、銀行はいくらでも「お金」を生み出すことが出来るんです!!

(注:ただし、後述の「準備預金制度」による制約は受けます。)

「銀行って、顧客から集めた「預金」を元手に「お金」を貸してるんじゃないの?」

そう思うのも無理はありません。

あなたも間違った情報を教えられてきたんですから。

お金の本質を知りたい方は、こちら

【信用創造】日本は財政破綻しないよ?みんな知らないお金の真実お金の勉強といえば、貯蓄や投資、税金の知識などと考えがちですが、もっと大切な「お金」の本質的な部分、「貨幣観」についてのお話です。「信用創造」を理解することで、25年の長きにわたり日本を衰退させてきた原因を知ることができました。経済は政治と密接に関係しています。世の中を壊してきたのが政治なら、治すことができるのもまた政治しかありません。もう一度、一緒に考えてみませんか?...

お金の価値

前述の通り、現在の「お金」は「不換通貨」。

金や銀のような価値のあるものとの交換が、保証されているわけではありません。

では何が、この紙キレにみんなが認める価値を持たせているのか?

それはズバリ、

「通貨は納税の手段となることで、その価値を担保している」と考えられています。

国は国民に納税義務を課し、法令により「通貨」を納税手段として定める。

すると国民は国に対して「通貨」を支払うことで納税義務を履行できるようになります。

日本の税金は、「日本円」でしか支払うことができないでしょう?

その結果「通貨」は、

「納税義務を解消することが出来るもの」という価値を持つことになるんです。

その価値があるから「通貨」は国民に受け入れられ、

納税以外の目的にも広く使用されているんですね。

「通貨」の価値を裏付けるものは…

税金を徴収する国家権力である。

金融政策

緩やかなインフレを実現するためには、

物が売れて、企業が儲ける。そして私たちの給料が上がる。

という循環を作り出す必要があります。

インフレとは?
  1. 物が売れるから物価が上がる。
  2. 物価が上がれば(会社の利益が増え)賃金が上がる。
  3. 賃金が上がれば、収入が増える。
  4. 収入が増えれば人は物を買い消費が伸びる。
  5. ①に戻る。

そのためには、世の中に出回る「貨幣」の量を増やさなければなりません。

「信用創造」の項で学んだ通り、

世の中に新しい「お金」を生み出しているのは、「銀行」でしたね。

つまり、銀行の貸し出しが増えれば「貨幣」の量が増えるということ。

そこで政府は、日銀当座預金=準備預金を増やすことで

銀行の「貸し出し」能力をUPさせれば、銀行は「貸し出し」がしやすくなる!

と考えました。

日銀当座預金とは?

政府や金融機関が日銀に開設している口座。

政府⇔金融機関、金融機関⇔金融機関の決済に使用される。

準備預金制度(銀行が受け入れている預金の一定額を日銀に預けておかなければならない)による準備預金でもある。

日銀当座預金を私たち一般国民は利用することが出来ない。

また、私たちが利用している「銀行預金」とは全くの別モノ。

2012年に発足した第2次安倍政権以降、日銀は大規模に「国債」を買い上げ、

「マネタリー・ベース」の増加を行いました。

その規模は500兆円にも達しており、これを「量的緩和」といいます。

「マネタリー・ベース」とは、

日銀が保有する「準備預金」と「現金通貨」の合計のこと。

【2022年6月末時点 日本国債所有者別内訳】
出典:新世紀のビッグブラザーへ
【日本のマネタリーベース(右軸)とインフレ率(左軸)】
出典:新世紀のビッグブラザーへ

しかし、ここでも政府は大きな間違いをしています。

銀行の「貸し出し」能力をUPさせれば、銀行は「貸し出し」がしやすくなる!

のくだりです。

銀行の「貸し出し」能力をいくら上げたところで、

そもそも「デフレ」で借りる人がいないので、「貸し出し」は増えない。

つまり、世の中に出回る「貨幣」の量が増える事はありません。

結果的に、各銀行の日銀当座預金が無駄に積み上がっただけでした。

これを「ブタ積み」と言ったりしますね(笑)

例えるなら…

馬が水を飲むのは、水が飲みたいから。

水を飲みたくない馬を無理やり水場に連れて行っても、水を飲ませることは出来ない。

それはどんなに水の量を増やしても同じことだ。

お金を借りたい人が多くいて「預金通貨」が増えるから「マネタリー・ベース」が増えるのであって、

その逆、「マネタリー・ベース」が増えるからお金を借りる人が増えるわけじゃない!!

「主流派経済学」では、そんなこともわからないようなんです。

財政政策

【主要国の2021年名目GDP・政府支出対2001年比(倍)】
出典:新世紀のビッグブラザーへ

ならば、どうすれば良いのでしょうか?

民間に需要が無いのであれば、「政府」が需要を創れば良いのです!

教育投資や防災対策、インフラ整備、研究開発費への支出を増やすなど、

やれること(やるべきこと)はいくらでもあります。

上記グラフからも、政府支出と名目GDPの成長には、明らかな相関関係があります。

なのに、なぜやらないのか?

ここで必ず出てくるのが「財政破綻」というプロパガンダです。

【日本の公共事業関係費の推移(兆円)】
出典:新世紀のビッグブラザーへ
【国立大学法人運営費交付金予算額の推移(億円)】
出典:新世紀のビッグブラザーへ

国の借金

これ以上、「国の借金」が増えると、日本は「財政破綻」する。

あなたもテレビや新聞で聞いたことがあるのではないでしょうか。

ここで政府は最も大きな間違いをしています。

正しくは「国の借金」ではなく、「政府の負債」。

そして、日本が「財政破綻」することはありません。

「信用貨幣論」を理解しているあなたには、もうわかると思いますが、

「貨幣」とは「負債」の一種、つまり、

”「政府の負債」=「貨幣発行の記録」” でしかないんです。

テレビで、池○彰氏も力説していましたが、

政府の発行する国債は「豊富な民間の貯蓄」があるからこそ

国内で買い支えることが出来ている。

いずれそれが尽きた時、外国人にも買ってもらわなければならない。

そうなると今のような低金利では誰も買ってもらえなくなる。

買い手がいないから国債の金利が急騰、財政破綻に至る。

このような間違った認識がまん延しているんですね。

正しくは、

政府の発行する国債を、銀行が買い取るとき、

そこで使われるのは「日銀当座預金」。私たちの「銀行預金」ではない。

政府、日銀、銀行間で日銀当座預金が増減するだけ。

なので

「財政赤字の拡大によって民間資金が不足する」こともなければ

「買い手がいなくなって金利が上昇する」なんてことは、

起こりえない!!

むしろ国債を発行した分だけ、民間預金は増える!!

つまり「通貨供給量」を増やすことのできるただ1つの政策…

それが「財政赤字の拡大」なんです!!

「誰かの赤字は、誰かの黒字」

「政府の負債は、民間の資産」

そういうことです。

【金融機関、非金融法人企業、一般政府、家計、海外の資金過不足(兆円)】
出典:新世紀のビッグブラザーへ

政府と海外の赤字が、民間(家計、企業、金融機関)の黒字と一致していますね。

「見事」としか言いようがありません。

やはり「誰かの赤字は、誰かの黒字」

簿記で学ぶ、「貸借一致の法則」が成り立っていることがわかりますね。

「貨幣」の生まれ方②

政府が新規国債を発行し、それを金融機関が買い取った時、

この世に「お金」が生まれる。

ただしこの時点では「日銀当座預金」という私たちが使えないお金なので、

財政出動により政府が支出を行うことで、

世の中のお金(銀行預金)が増える。

財政健全化

日本の予算は「収入」より「支出」が多い。

収入の範囲内で支出しなければならない。

テレビや新聞では、よくこんなことが言われています。

これ以上、国の借金を増やすわけにはいかない。

借金は、いずれ税金で返さなければならないからだ。

その債務を、子や孫の世代に残すわけにはいかない!

「収入」を増やし「支出」を減らし、黒字化した部分を借金返済に回さなければ!

我が町の衆議院議員は、これと同じことを街頭演説で叫んでましたよ。

あなたも聞いたことがあるのではないでしょうか?

(こんな経済オンチな政治家に投票しちゃダメですよ(笑))

【日本の国民負担率の推移】
出典:新世紀のビッグブラザーへ

このグラフの通り、

国の借金を返すため、という理由で、税金や社会保険料の国民負担は増す一方です。

1996年をピークに実質賃金は下がり続けている中で、ですよ?

さて正しくは、以下の通り。

その借金(正確には政府の負債)の返済に必要な「円」は

政府がいくらでも発行できる。

つまり、自国通貨建てで発行している国債である限り、

「通貨」の発行能力を有する国(政府)の返済能力に限界はない。

さらに、国債償還費の財源は「税金」である必要もなければ、

債務を完全に返済しきる必要もない。

「国債」の償還期限が来たら、同額の「国債」を新たに発行し償還を行う、

いわゆる「借り換え」を永久に続ければ良い!!

確かに国債が返済不能となって「財政破綻」した国はあります。

よく例に出される「アルゼンチン」や「ギリシャ」ですね。

しかし、アルゼンチンは「外貨(ドル)建て国債」、

ギリシャも「ユーロ建て国債」でした。

ちなみに共通通貨ユーロを発行できるのは欧州中央銀行で、

ギリシャではありません。

つまり、いずれも自国通貨建てではなかったんです。

逆に言えば、「国家」に返済の意思がある限り、

「自国通貨建て国債」が返済不能になり、破綻した国は…

歴史上、1つも無いんです!!

これは財務省自身も、日本国債の格付けが下げられたことに対する、

「外国格付け会社宛意見書要旨」において、

出典:財務省HP

1.(1)日・米など先進国の自国通貨建て国債のデフォルトは考えられない。デフォルトとして如何なる事態を想定しているのか。

と認めている事実なんですよ。

デフォルトとは、「債務不履行」

つまり、「借金を返せなくなっちゃった! てへぺろ(笑)」

となった状態のこと。

間違った目線

そもそも、国の財政と企業や家計を「同じ目線」で考えているのが間違いです。

企業や家計にとって借金は、減らさなければならない悪いもの。

それが増えすぎると財政破綻に陥る。それは正しい。

しかし根本的に、国には通貨を発行する能力があります。

だから自国通貨建て国債が返済不能になることは無く、

かつ、その「赤字」は民間の「黒字」です。

「政府の負債」と「企業や家計の借金」とは別モノなんですね。

【日本のプライマリーバランス赤字(左軸)とインフレ率・長期金利(右軸)の推移】
出典:新世紀のビッグブラザーへ
注:21年度と22年度のプライマリーバランス赤字額は見込み値

実際、日本の財政赤字は毎年増え続けていますが(赤棒)、

インフレ率や長期金利はゼロ付近となっています。

なお、2014年度にインフレ率が跳ね上がっているのは、消費増税5%⇒8%の影響です。

税金

するとこんな話が出てきます。

国の借金返済に「税金」が必要ない…?、

インフレ率が許す限りいくらでも国債を発行できる…?

そう言うのなら、全ての予算を「国債」で賄えば良いじゃん。

「税金」なんて要らない。「無税国家」で良いんじゃね??

いや、それはダメです。

「無税」にすれば、確かに需要は回復し「デフレ」脱却できるでしょう。

しかしそこで止まりません。

過剰な需要が物価を押し上げ、貨幣の価値は下がり続ける。

つまり今度は「インフレ」が進みすぎ、その先は…

「お金」がただの紙キレになる「ハイパー・インフレーション」に陥ります。

そうならないように、世の中の「お金」を間引く手段、

つまり「税金」が必要なんです。

「税金」とは「財源確保」の手段ではなく、

「インフレ率」つまり「物価調整」の手段として必要なんです。

これを「機能的財政論」といいます。

主として経済が過熱しすぎないよう、落ち着かせる役割ですね。

もちろん他にも、”二酸化炭素排出を抑制するため” の「炭素税」、

”国民の健康を促進させるため” の「酒税」や「たばこ税」、

”格差是正” を目的とした所得再配分のための「所得税」など、

「政策手段」としての役割も持っています。

消費税

日本が誇る愚策中の愚策です(笑)

「全額を社会保障費にあてる」と嘘をついて税率を上げ続けてきたアレのことです。

3%で導入された1989年(平成元年)はバブル期、つまりインフレでした。

しかしこの後、愚策が始まります。

1997年(平成9年)に3%⇒5%に。この時から日本はデフレ不況に陥ります。

それにも関わらず、

2014年(平成26年)に5%⇒8%、

2019年(令和元年)に8%⇒10%と、税率は上げ続けられました。

ここまで読んでくださっている熱心なあなたなら、もうお気づきでしょう。

デフレ時には、世の中に出回る「貨幣」の量を増やさなければならない。

なのに政府は、世の中に出回る「貨幣」の量を減らす政策を打ち続けている、

という事実に。

使い道

「消費税法第一条を読んで欲しい。消費税の使途は年金、医療、介護、子育て等の社会保障費に限定されて使われる、と決まっている。」

「消費税は、法人税減税の穴埋めに使われているといったデタラメを公共の電波で言うのはやめていただきたい。」

2022年6月19日、当時の自民党政調会長による、NHK日曜討論(生放送)での発言です。

では、その消費税法を見てみましょう。

消費税法 第一条2

「毎年度、制度として確立された年金、医療及び介護の社会保障給付並びに少子化に対処するための施策に要する経費に充てるものとする。」

確かにそう書かれています。

しかし、この文言が追記されたのは2012年(平成24年)。

つまりその後の消費増税を見据えての ”後付けの理由” なんです。

そうであるならば、きちんと「特別会計」で管理しなければなりませんが、

実態は「一般会計」に放り込んで、他のものと混ぜこぜにしてしまい、

結局のところ「どう使われているのかは、わからない。」

これが事実です。

では、当初の目的とは何だったのか?

それは「直間比率の是正」と言われてきました。

つまり「直接税」と「間接税」の比率を正す。

具体的には、所得税、法人税といった ”収入がある人” に対してかかる税金が高すぎるから、

子供から老人まで公平に、まんべんなくかかる税の比率を高めよう。

そういう話でした。

そしてその通りになっています。法人税(と、一部の高所得者)についてだけ。

一部訂正

2022年11月、

消費税は間接税ではなく直接税だったことが判明しました。

消費税とは私たち消費者にかかる税金ではなく、事業者にかかる税金。

赤字を計上し法人税を逃れている中小企業から、

税金を巻き上げるために導入された、第二法人税。

それが消費税の正体だったのです。

詳細は「欺瞞(ぎまん)」の項で後述します。

消費税率引き上げ(赤文字)と法人税率引き下げ(青色)の推移グラフ
出典:れいわ新選組【東京選挙区 山本太郎の政見放送】
消費税収増加(青色)と法人税収減少(赤色)の推移グラフ
出典:れいわ新選組【東京選挙区 山本太郎の政見放送】

これらのグラフを見て、政権与党の方々は、

「いや、そうではない!」「社会保障費にのみ使っている!」

と、どうやって説明するのでしょうか?

逆進性

消費税にはもう1つ、愚策と呼ぶに相応しい最悪の特徴を持っています。

それは、”高所得者には軽く、低所得者には重い税金” 、

つまり逆進性を持っている点です。

具体的には…

年収1億円の人が年間で1億円消費するはずがありませんよね。

富裕層がどれくらい使うのかよくわかりませんが、例えば2千万円としましょうか。

それに対し年収200万円の人は、その全額を生活のための消費に回すとします。

それぞれに掛かる消費税を計算してみましょう。

それぞれに掛かる消費税額
  • (年収1億円) 2000万円 × 10% = 200万円
  • (年収200万円) 200万円 ×10% = 20万円

それから収入に対する消費税額の割合を計算してみましょう。

収入に対する消費税額の割合
  • (年収1億円)  200万円 ÷ 1億円 = 2%
  • (年収200万円) 20万円 ÷ 200万円 = 10%

あれ!? よく見てください。

年収200万円の場合、掛かってくる消費税額の割合は収入の10%なのに対し、

年収1億円の人には(2000万円も消費しているにも関わらず)収入の2%しか掛かっていません。

これが ”高所得者には軽く、低所得者には重い税金” と言われる所以です。

”現役世代から老人や子供まで平等に”、などと言われていますが、

真っ赤な噓だったんですね。

まさに愚策。

特にデフレ期には ”絶対にやってはいけない” 政策なんです。

欺瞞(ぎまん)

消費税の誤解

消費税とは、間接税である。

つまり、”納税義務者” である私たち消費者が治めた消費税を

”徴税義務者” である事業者(小売店等)が国に治めなければならない。

そのように教えられてきませんでしたか?

でも実は、消費税とは

事業者の付加価値(=粗利益)に対する直接税(第二法人税の位置付け)

だったのです!

詳しくは、こちらの動画をご覧ください。

1:30~11:30の10分間が ”消費税は直接税” の解説です。
1:25~20:40、さらに詳しい解説です。

構造改革

「成長戦略」(経済をどのように成長させるのか)

には、2つのタイプがあります。

成長戦略の2タイプ
  1. 賃金主導型
    • 賃金の上昇によって経済成長を実現させる。
    • 別名「アメ型」
  2. 利潤主導型
    • 企業がより稼げるようにすることで経済成長させる。
    • 別名「ムチ型」

賃金主導型(アメ型)

最初に ”賃金上昇ありき” の戦略。

賃金が上がる時の条件
  • 人手不足
  • 労働組合が強い
  • 「労働者保護」の規制が強い

こういった条件が重なり、人件費がかさんでしまうと、

企業は生き残るためにどうするか…

企業は積極的に研究開発投資を行い、イノベーションを起こし、

競争力のある高付加価値商品を生み出そうとするようになります。

その結果、

企業が儲かる ⇒ 賃上げ要求高まる ⇒ 給料が上がる ⇒ 消費が増える

の好循環を生み出す。

これが「アメ型」成長戦略といい、「デフレ対策」でもあります。

利潤主導型(ムチ型)

最初に ”人件費を抑制” し、企業がより稼げるようにする戦略。

労働者を保護しすぎる日本の経営は「古い」、世界で勝ち抜くためには「邪魔」だ。

バブル崩壊後の日本では、景気低迷の原因を「日本の古い経営スタイル」にあると決めつけ、

当時イギリスやアメリカで行われていた「成長戦略」を参考にしました。

企業の利潤を優先するために
  • 解雇や賃下げの脅しを労働者に対する「ムチ」にして人件費を抑制
  • 規制を緩和し、企業同士さらには海外との価格競争を促進
  • 力のない企業は潰し、生き残った強い企業だけの経済にする。

過度な価格競争で「物価」が下がっていく。

そうです。こちらは「デフレ」圧力がかかる戦略、

つまり「ムチ型」戦略は「インフレ」対策なんです。

しかし、ここで笑えない話があります。

参考にしたと当時のイギリスやアメリカは、

なんと「インフレ」に悩まされていました…

「デフレ」の日本は、「インフレ」対策を続けてきたわけです。

なるほど、デフレから抜け出すことができないわけですね。

典型的な脅し

昔と違い、グローバリゼーションは時代の必然!

世界と戦うには様々な規制をなくさねばならない!!

さもなければ企業は海外に流出してしまうぞ!!!

こんな話、今でもよく聞きますよね。

【一般職国家公務員数の推移(人)】
出典:新世紀のビッグブラザーへ
【日本の地方公共団体総職員数(人)】
出典:新世紀のビッグブラザーへ
【2017年 OECD諸国の公務員対労働人口比率(%)】
出典:新世紀のビッグブラザーへ
【人口千人当たり公的部門における職員数の国際比較】
出典:新世紀のビッグブラザーへ

アメリカ様

しかし実は、”グローバル化の権化” といったイメージがある

あのアメリカ様も1960年代にはその逆、

「保護主義」によって経済成長を遂げた国の1つなんです。

面白いことに当時、

保護主義的な政策(つまり「アメ型」)をとった国々の方が貿易が拡大しました。

なぜなら「保護主義」によって経済が成長し、

国内の消費需要が拡大した結果、「輸入」が増えたからなんです。

しかしこれが結果的に、後の対日貿易摩擦、

からの「プラザ合意」につながっていくわけですね。

戦後の日本

戦後まもなく世界は、

GATT(関税及び貿易に関する一般協定)の下、貿易自由化が進められましたが、

現在の水準とくらべると、

”かなり緩い、管理された自由貿易” と呼ぶに相応しいものでした。

自由化の対象となったのは農業・サービスを除く「工業分野」だけ。

しかも例外措置も広く認められました。

さらに自由化によって不利益を被る産業に対しては、

補助金の給付をしてその悪影響を小さくしていました。

つまり、あまり知られていませんが、「貿易の自由化」が進めば進むほど

「大きな政府」に近づいていたんです。

さらに言えば、日本が「デフレ」になる前までの輸出依存度は10%程度。

直近20年を見ても、20%を超えたことはありません。

つまり日本が貿易立国なんて話は神話に過ぎず、

日本は高度経済成長期からずっとアメリカ同様の「内需大国」なんです。

グローバル化の代償

1995年(平成7年)、WTO(世界貿易機関)が設立され、

自由貿易の対象は農業やサービス分野にまで拡大し、

政府による管理や保護も大幅に後退させられました。

経済学者たちは口をそろえて「グローバリゼーションこそが世界経済をけん引する」と言っていました。

しかし実際は、グローバル化すればするほど、日本においても所得格差は拡大し、

経済成長率は低下してしまいます。

筆者が勤める会社でも、今だに外国人労働者を積極的に雇用しています。

人件費の安い外国人労働者の雇用は、一緒に働く日本人労働者の賃金引下げにつながるにも関わらず、です。

つまりこれも、デフレ要因となるんです。

【日本の外国人労働者数(左軸、人)と増加率(右軸)】
出典:新世紀のビッグブラザーへ

結局グローバリゼーションによってオイシイ思いをしたのは、

投資家や富裕層、一部の大企業だけだったんです。

これについて近年では、かつてグローバル化を推し進めた経済学者たちも

間違いを認めざるを得なくなってきています。

2001年ノーベル経済学賞を受賞した、ジョセフ・スティグリッツは、

「自由貿易による安い商品の流入は、国内で同じ商品を作る労働者の賃金を押し下げる。」

と述べ、

2008年ノーベル経済学賞を受賞した、ポール・クルーグマンも、

自由貿易が格差を拡大させるという論文を発表する時、

「この論文は、罪の意識の吐露である。」と付け加えました。

また、「財政出動と合わせ、保護主義についても真面目に検討すべき」と主張しています。

さらに1999年から2011年の間、中国からの輸入によって

アメリカの雇用が200万~240万人ほど失われたという研究結果も出ています。

「グローバル化」が無条件に正しく、「保護主義」は悪いもの

という固定観念を脱ぎ捨てる時期に来ているのではないでしょうか。

主流派経済学

そもそも、どうして25年以上もの間、デフレ脱却できないままなのでしょう?

世の中の経済学者、有識者の方々が政府に進言、正しい方向に導いてきたはずなのに。

主流派経済学とは

世界中の大学の経済学部で、

「経済学」として教えられている経済理論のことであり、

各国政府や国際機関の経済政策に大きな影響を与えている。

ノーベル経済学賞

ノーベル財団のホームページには次のような説明があります。

ノーベル経済学賞は、ノーベル賞ではありません。

1968年スウェーデン国立銀行が

「アルフレッド・ノーベル記念 経済学スウェーデン国立銀行賞」を設立し、

それ以来1901年のノーベル賞と同じ原則に従って、

スウェーデン王立科学アカデミーによって表彰されているものです。

え!? ノーベル賞じゃないんかい!

ほうら、ちょっと ”うさん臭さ” が漂ってきましたね。

コトバンクによる解説は、こちら

さらにうさん臭い話をすると、

2018年、ポール・ローマーという経済学者が

経済成長理論の発展に大きく貢献したとしてノーベル経済学賞を受賞したんですが、

皮肉なことに受賞2年前の講演で、

「マクロ経済学は過去30年以上に渡って、進歩するどころか退化した。」

と辛辣な批判を展開していました。

さらに2008年にノーベル経済学賞を受賞したポール・クルーグマンは受賞した後に、

過去30年のマクロ経済学の大部分は、

「良くて華々しく役に立たず、悪くて全く有害」とこき下ろしたんです。

自分たちが主流派経済学者の権威であるにも関わらず、

その主流派経済学を批判し始めている。それはなぜか?

リーマンショックが起きた2008年、イギリスでこんな事件が起きました。

先日お亡くなりになったエリザベス女王が、居並ぶ主流派経済学の世界的権威たちに、

「なぜ世界金融危機が来ることが分からなかったんでしょう?」

と尋ねたものの、彼らは絶句。誰もこの質問に答えることが出来なかったんです。

セーの法則

主流派経済学の理論は「一般均衡理論」をベースにしています。

簡単に言えば、

「経済全体における市場の需要と供給は、価格メカニズムを通じ、常に一致するという理論」

となります。

そしてこの理論は、「セーの法則」を前提にしています。

セーの法則

生産物は常に他の生産物と交換できる。

言い換えれば「供給は常に需要を生み出す」という法則

「はぁ!?作ったものが必ず売れるんだったら苦労しねーよ!(怒)」

そう思った方、多いと思います。

そうなんです。現実にはありえない世界だからです。

これは「物々交換」の世界であり、「信用貨幣」も無ければ「銀行」も無い世界。

主流派経済学は、小難しい数字を駆使して、いかにも科学的な装いをしてはいますが、

基礎にあるのはすべて、「一般均衡理論」なんです。

このことからも、主流派経済学者たちから「デフレ」になるような

政策しか出てこない理由がわかります。

根底に「供給は常に需要を生み出す」という考えがあるので

「財政政策で ”需要” を創り出す」なんて発想に辿り着くことが出来ません。

つまり「供給」側の話しか出てこないわけです。

頑な(かたくな)

先述のポール・ローマーがこんなことを言っています。

主流派経済学者の特徴
  • 途方もない自信
  • 異常なほど一枚岩となった共同体
  • 宗教団体か政党のような一体感
  • 強烈な内輪意識
  • 他グループへの無視・無関心  等々

このことを良く理解していたクルーグマンも、

「保護主義は検討に値する」と述べた際、バッシングを予想し、こう付け加えました。

「保護主義について良いことを言ういかなる理論も間違っている、などと言わないでもらいたい。」

「それは神学であって、経済学ではない。」

確かにそんな風潮はあるようで、主流派と違う意見を言おうものなら、

「経済学を知らない素人」

「異端の烙印」を押され、追放されてしまうそうです。

「デフレ」推し

「セーの法則」が根底にある「一般均衡理論」により、

「デフレ」になるような政策しか出てこないことは先述しましたが、

その理由は、実はもう1つあるんです。

それは、「世の中 ”デフレ” の方が都合が良い連中がいる。」ということ。

すでに富める者は「お金」の価値が下がってしまう ”インフレ” を嫌います。

そして政治や経済界、マスコミに影響力があるのはどういう奴らなのか、

そういう話も関係しているわけです。

なんて、しょーもない… でも世の中とはそういうものですよね…

まとめ

本物の日本経済を理解した筆者は、

これら一連の話を よめかぜ にしたところ、一言。

「その話が本当に正しいんだったら、どうして政策に取り入れないの?」

ぐうの音も出ません。

(それが出来ないから困ってんだよ…)

しかし今回参考にさせていただいた、

「マンガでわかる 日本経済入門」の著者、中野剛志先生によると、

社会科学にはヒントとなる概念があるそうです。

その概念とは、「認識共同体」。

認識共同体とは

簡単に言えば、同じ組織や集団にいると、世の中に対する見方や考え方も

似たようなものになるという話。逆に言えば、

似たような考えを持っている人たちは仲間になりやすいということ。

俗にいう「組織内部の論理」のこと。

だそうです。なるほど。

「頑な」の項でも触れましたが、主流派経済学者のそれは

極めて強いようです。

とはいえ、「ノーベル経済学賞」の項でも触れたとおり、

2001年ノーベル経済学賞を受賞した、ジョセフ・スティグリッツ、

2008年ノーベル経済学賞を受賞した、ポール・クルーグマン、

その他にも

米財務長官やハーバード大学学長も務めた、ローレンス・サマーズ、

国際通貨基金のチーフエコノミストだった、オリヴィエ・ブランシャールといった、

主流派経済学の大御所たちもまた、徐々に気付き始めています。

それにより主流派経済学の強大な「認識共同体」は次第に崩れ始めているようです。

それに加え、私たち一般国民が正しい知識を身に付け、

政治に対して関心を持つとともに、選挙等において正しい選択をしていくことで、

日本経済を立て直すことは、必ず出来る。

もう一度、「経済大国」に戻ることが出来る。と確信しています。

だってみんな怠けてたわけじゃない。頑張っているじゃないですか!

自助努力には限界があります。

日本経済そのものを良くすることで、私たちの生活もよくしていきたい。

この想いが、1人でも多くの方に届きますように。


今回も最後まで読んでくださり、ありがとうございます。

また次回の記事でお会いしましょう!